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父と眺めた光の東京駅。

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「男運がないのねぇ」と、たまに友人に言われます。

それも仕方がないかなぁ、と私は思います。だって、父親の運に恵まれているから。それで使い果たしちゃったのではないかと。

大学を卒業した頃からでしょうか。父とよく話すようになったのは。

おいしいものを食べながら、おいしいお酒を呑みながら、日々の生活の中で感じたことをお互いによく話します。

鉄道の旅が趣味である父が持って帰る土産話は、日本の地方の素晴らしさを私に教えてくれます。その土地ならではの食材や観光名所の知識はライターである私にとってはありがたいものです。

父がひとつ旅に行くたびに、私もひとつ日本のよさを知り、日本への愛情が深まっていくように感じます。

時々、私たちは一緒に旅に出かけます。

その土地ならではの食材を食べ、酒を呑み、素晴らしい景色を一緒に眺める。同じ経験を重ねることで、元々親子で強い縁で結ばれている私たちではありますが、より深い絆になっていくように感じます。

フリーランスのライターという職業はなかなか大変ですが、下積み時代の私の生活を明るくしてくれているのは、父の笑顔、そして父と過ごしたあたたかい時間なのだと思います。

そういえば、私はひとつだけ、友人皆に同じ事を言われます。

「福々していて、楽しそう。幸せそうな顔ね」

健康で生活力もある彼女達には見せないけれど、人と違う生き方は苦しいものです。だからそう言われる度に、何でだろうと戸惑っていました。

自分は大変だと感じている私が彼女達にそう見えるのだとしたら、それは父から(もちろん母からも)与えられている手間のかけられたたっぷりの愛情が、私からにじみ出ているからだろうと思います。

人に大切にしてもらっているという経験は、かけがえのない財産ですね。

そして、素晴らしい景色を一緒に眺めたという思い出は、後の人生で大切な宝物になるものですね。父と共に眺めたたくましい土佐の海や、雨の中しっとりと佇む金沢の東茶屋街、祈りの仏歌と共に目覚める早朝の京都、霧と光が生み出す幻想的な函館の夜景・・・。思い出達がそう教えてくれている気がします。

昨日、父と一緒に東京駅の映像イベントを観に行きました。駅舎を愛する父と共に眺めた、光の東京駅。

またひとつ、いい思い出ができました。

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